こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪
本記事ではマンションでのアップライトピアノの防音についての基本的な考えと、実際にオススメして苦情が収まったなど効果のあった防音グッズを紹介していきます。
少しでも参考になれば嬉しいです。
オススメ防音グッズショップ ”ITS”
正式な名前はIts a beautiful musicです。
防音や耐震などについて聞かれた時はいつもこのお店をオススメしています。
ピアノを持ち上げるジャッキの貸し出しもあるので、運送業者に依頼する事なく防音グッズの設置が出来ます。
サイズ・効果・価格が一目でわかる表があったりするので、正直なところ本記事よりわかりやすいです。。
このITSさんのHPを見つつ、迷った時に下に書いてある内容を参考にして頂くのがいいかなと思います。
its a beautiful music防音グッズの注意点【大事なのは数字よりリアル】
グッズ探しの注意点が1つ。ネットで調べると〇〇デシベルが●●デシベルになりましたみたいな数字を使って商品が紹介されています。この数字と現実の漏れ具合は必ずしも一致するものではありません。最強の防音対策である防音室ですら、数字を計ると小さくなっているはずなのに音が漏れて苦情が来る事もあるのが現実です。
防音で大事なのは数字よりもリアルです。
ここで紹介するのは過去に実際にお客様にオススメして効果があったものになります。ものによってはピアノの音が少し変わってしまうグッズもあるので、このデメリットについても書きながら紹介していきます!
調律師オススメ防音グッズ
床対策用
インシュレーター
ピアノのキャスターと床の間にあるお皿です。本来床が傷つかないためのものでプラスチックや木製だったりするのですが、これをゴム製のものにすると床への振動を防ぐことができます。
スーパーピアノストップ
約12000円です。ゴム製です。キャスターが入る深さが深く、地震の時の脱輪予防にも最適です。壁とピアノの間は10cm空けることが推奨されています。
ピアキャッチ
約5000円です。僕はこれをよく薦めています。ゴム製で裏面がカーペット生地になっていて、ピアノの裏を掃除したい時などに滑らせて移動することが可能です。
防音パネル
インシュレーターだけでは不安という方にオススメなのが防音パネルです。このパネルと防音インシュレーターの組み合わせで床へ伝わる振動はかなり抑えられます。
騒音対策の相談を受けた時には、床用の防音パネル+防音のインシュレーターのセットをいつもお薦めしています。
ピアノステージ
約40000円です。色々なカラーがあります。ここのサイトでは3つに別れているものも売られており、レンタルジャッキを使えば業者に頼むことなく設置が可能です。業者に設置を頼むと1万円ほどかかります。
DIY
ホームセンターで売っている材料で作れば5000円くらいで足ります。15ミリくらいの厚さの木材をカットしてもらってお風呂用の保温シートを貼り付ければOK。なんちゃって防音断熱パネルの完成です。
ワイズ お風呂のアルミ保温シート L【裏ワザ】これでも不安という方のための床対策~ソルボセイン~
ソルボセインという特殊なゴムがあります。医療の現場では人工筋肉などにも使われるものなのですが、これをインシュレーターの下に入れることによってより防音になります。このソルボセインはカッターで切れるので、としさんはよくインシュレーターの形に切って使っていました。硬度が3種類あります。ピアノは後ろに過重が掛かるので後ろのインシュレーターの下にはハード、手前側の2つにはソフトを入れるのをオススメします。
1枚3000円で、それぞれ1枚ずつ買えば足ります。
ソルボ セイン300×300×3mm硬度S(ソフト)ソルボ セイン300×300×3mm硬度H(ハード)壁対策用
防音パネル【音色が変わるので注意!】
壁に放射される振動を物理的に止めるものです。どうしても隣の家に面した壁にピアノを置きたい方には効果的な防音です。
聴こえる音がかなり変わるので、まずは厚手の毛布などを後ろに垂らしてみてどう聴こえるのかを試してから購入を検討されるのをオススメします。
アップライトピアノ用ECOパネル
約56000円です。防音メーカーの東京防音が作っているピアノ専用のパネルです。湿度対策もされており、裏側にカビが生えるリスクが減ります。
この壁対策用防音パネルも、床対策同様にDIYでいけます。作り方は同じです。
ワンタッチ型防音パネル
これは壁に自分で設置するタイプのものです。過去にこれをご自身で窓や壁に設置されていたお客様もいました。量によっては金額がかなり高くなるのもあって実際にオススメしたことはないのですが、そのお客様はかなり効果があったと言っていました。念のためここに紹介します。
高性能防音パネル ワンタッチ防音壁 プロ 拭ける壁紙調クロス (900×900mm) 取り付け簡単、貼るだけで本格防音 防音ボード 騒音対策窓
いわゆる2重サッシです。窓の近くに置いてあるピアノにはかなり効果的です。ただ値段はピンキリみたいですね。業者さんとのやり取りになります。
業者さんを入れるのはちょっとなという方にはこちらもあります。窓のサイズによって値段はかなり違いますが、窓を変えられないという時などは有効です。
思ったより効果のないもの
防音カーテンと防音カーペットはもちろん効果はありますが、値段からすると弱いイメージがあります。ただ少しでも防音性を高めたいという方や、カーテンの場合には窓に比べれば手軽にできるので、業者さんが来るのはちょっとという方にはありかもです。
床対策をした時の注意点
振動対策でピアノと床の間にゴムのインシュレーターや、パネルを入れたわけですがこの分ピアノの高さが高くなっていきます。鍵盤の高さに関してはメーカーやモデルによって違うのでそこまで気にすることはありませんが、問題はペダルの高さです。特に小さいお子様にとっては踏む時にかかとが床につかないくらいの高さになる事もあります。かかとを付けるための木の板(雑誌でも何でもいいです)を用意してくださいね。
防音室
これが最強の防音です。そして桁違いに高いです。
ピアノの先生や専門で演奏される方は、弾く時間と音量も圧倒的に多いので安心して音を出すために防音室という選択が必要な時もあるかもしれません。
防音のポイント
ポイントは大きくわけて3つあります。効果がある順に書いていきます。
床
マンションのアップライトピアノで最も防ぐべきは床への振動です。聴こえている音ではなくピアノそのものの振動が床を伝わって上下隣の部屋に伝わっていきます。ピアノと床の間に防音のためのグッズを入れることによってこの振動を軽減させることができます。騒音対策としては最も有効で、大体ピアノをお持ちの方はこの床対策はされています。
デメリットはピアノの高さがどんどん高くなっていき、特にペダルが踏みづらくなっていくことですが、かかとが付く部分に何か置けば解決します。これについては後ほど少し書きますね。
床対策グッズはピアノの下に設置するものなので、設置については調律師さんに相談してみてください。サイトによってはレンタルジャッキといって、1人でピアノを持ち上げられる道具をレンタルできます。
壁
アップライトピアノで最も音が出ている方向は実は真後ろです。壁と反射した音が部屋に広がっています。この壁への振動を防ぐことにより防音することができます。
デメリットは、最も音が出ている部分を塞ぐことになるため音の聴こえ方はかなり小さくなります。こもって聴こえるように感じる方もいるかもしれません。音が小さくなると無意識に強く弾いてしまうものなのですが、そうすると結果的により多くの振動が床から伝わることにも繋がるので、壁対策をする場合には同時に床対策のことも考えましょう。
窓
特に窓の近くに置いてあるピアノの場合です。この窓を変えることによって音の漏れを防ぐことが出来ます。もちろん効果はありますが、マンションの場合にはまず床と壁の対策をされるのをオススメします。ちなみに一戸建てでは窓対策はかなり効果があります。
例外
換気扇
いくら防音対策しても外にピアノの音が漏れるという場合には疑ってみてもいいかもしれません。
天井
これはかなり珍しいパターンです。天井用の防音グッズもあるようなのですが、オススメしたことがないのでここでは省略します。
防音の目的
演奏を楽しむためです。苦情にびくびくしながら弾くのは全然楽しくないですし、お子さんが弾くたびにドキドキするのも嫌ですよね。この防音はご近所さんのためでもありますが、なんといっても1番の目的はピアノで楽しい生活が送れるようになる事です。
さいごに
ここまでマンションでのアップライトピアノのための具体的な防音グッズについて書いてきました。どの建物もそれぞれ音が伝わりやすい場所があるようで、その場所を徹底的に対策することによって階下への騒音はかなり減らすことが出来ます。
ですが現実には防音の1番の対策はご近所付き合いです。これを言ったら元も子もないのですがこれがリアルです。とあるピアノの先生は毎朝マンションの周りの掃き掃除をされていて、同じマンションにお住まいの方ととても良い関係を築かれています。もちろんここまでされる方は稀ですが、こうしたコミュニケーションが結局は何よりも大切になってきます。
防音については普段来ている調律師さんが相談に乗ってくれるはずです。その上でこの記事が防音対策の役に立てば嬉しいです。
以上になります。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。 としさん