こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪
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こちらの記事の続きです。
【ピアニストの言葉】ベートーヴェンピアノソナタ第31番 変イ長調 作品110
年末にデータを整理していたら、たまたまウィーンの巨匠ピアニスト、イェルク・デームスがベートーヴェンのピアノソナタ110番について話している音声が見つかったので、素人翻訳ではありますが訳してみました。
※ちなみにこれは彼が考えている事のほんの一部で、それを僕のレベルにまで落として話した内容になります。
※音楽については素人の僕が意訳をするとおかしな事になるため、文の繋がりよりも直訳を意識しました。
彼から聞いた別の話もこちらにあります。
ベートーヴェンピアノソナタ第31番 変イ長調 作品110その②
さて、4小節目のトリルについてです。これはアントニア・ブレンターノです。なぜここがアントニアなのかと言うと、このAntonie BrentanoのイニシャルがAとB。そして子どもの頃はアントニア・ビルケンシュトックという名前でした。このA・Bとは何か。これはもちろん調性のAs、つまりA♭の事です。なので変イ長調、この曲はアントニア・ブレンターノに捧げられているとされています。
ここで興味深い話があります。これはボチンスキー社の本に書いてあったのですが、ベートーヴェンはこの曲を彼女に捧げる(献呈する)という内容の手紙を送ったそうなんです。しかし出版社へ着くのが大幅に遅くなってしまい、その手紙が届く頃には既に初版は出来上がってしまっていました。そこでベートーヴェンは第2版にはあなたの名前を入れますとアントニアに言いました。しかしその後に何かしらが彼らの間に起こって、結局ベートーヴェンは「献呈の相手はどうでもいいです」のような事を言ったそうで、結果的にこの110番は彼の中では唯一の、誰にも献呈されていないピアノソナタになったという話です。
さて、このアントニアという女性、美しかったでしょうか、それとも美しくなかったでしょうか。もちろん美しかったはずです。なぜならベートーヴェンは「私は美しい女性しか愛せない」と言ったんだとか。では美しい女性は何を身に付けていたでしょうか。それはダイヤであったりトパーズであったりいわゆる装飾品です。これらも輝かないといけないのです。
もし内面が貧しい女性がたまたま装飾品を持っていたとしたら、このトリルはマシンガンのようになるでしょう。しかし上品な女性の場合はトリルも見せつけることなく、しかし美しくなるはずです。そしてこの当時のウィーンのトリルにはアッチェレランドしてからリテヌート、そして小さいクレッシェンドと小さいディミヌエンドが含まれていました。
そしてここでは次の呼吸の位置も考えなくてはなりません。この部分は一息でいくためトリルであまり時間をとってはいけません。繰り返しますが、身に付けているダイヤは決して見せびらかしてはいけないのです。
そして次の5小節目からこのソナタは始まります。
続く・・・
ブラームス:ピアノ四重奏曲 イェルク・デームス バリリ四重奏団↑↓山荘からの散歩道(ザルツカンマグート)