スタインウェイジャパンのセレクションルームで楽器の選定へ

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少し前になりますが、スタインウェイジャパンさんのセレクションルームへお客様と同行させて頂きました。目的は楽器の選定です。

この入口から入って秘密の扉を開けるとそこにあるのはセレクションルーム。なんとまた豪華な空間でしょうか。

湿度をコントロールする機械にもスタインウェイのロゴが入っています。

今回の選定で用意された2台の内、片方は正に王道とも言うべき輝きのある個性を持っており、もう一台は甘さというか色気のある音色。パッと触って「両方欲しいです!」なんて会話もありながらじっくりと色んな曲を弾いて行きます。

選定あるあるというか、予想していた通りどちらも良くて迷ってしまうという贅沢な選択肢。

途中で僕も少し弾いてそれを遠くで弾いて頂いたり、スタインウェイジャパンの方にもアドバイスを頂いたりしながら時間は進んでいきます。

こういう時に僕がお客さまに伝えるのは、今鳴っている音とは別に「今後どうなっていきそうな楽器なのか」も感じた事を伝えるようにしています。また何度か調律に伺っていると音の好み、そしてどういう音が嫌いなのか(これはとても重要)もわかってくるので、これも含めて調律師としての経験から感じる事、思った事を言葉にしていきます。

あとは個人的にかなり大切にしていることがあって、それは最後の一歩は弾く方ご自身に必ず決めて頂くという事。最後の最後に背中を押すことはなく、「この楽器で良いと思いますか?」と聞かれても「どちらも間違いないですよ」といった返答をするようにしています。

これには理由があって、まず一つ目はオーストリアではどれかのピアノをお勧めする事はあっても最後背中を押す事はしないのが普通という事。そして二つ目は、ピアノの購入に失敗されたと感じていらっしゃる方からのご相談は少なくなく、その方々の多くは「最後は人に決めてもらった」という共通点があるからです。これはピアノの先生であったりピアノが上手いご友人、またはお店の人など様々ですが、最後に自分で決められなかったというのはつまり何か引っ掛かっている事、クリアになっていない事があったという事で、そのため後になってから「別のピアノにすれば良かった」とまた悩むことになっているんだと思います。

こういった新品ピアノの選定に限らず、調律師として同行する時の大きな役目の一つに「これはないな」というピアノを選択肢から外すという事だと僕は考えています。あとは悩む上での材料をはっきりさせるお手伝いをすること。

またスタインウェイの選定の場合は別軸の考えもあって、それはここには書きませんがせっかく調律師として同行させて頂いているからには100%全力で臨みつつも、最後はご自身で決めて頂くという事を心掛けています。

この日選ばれた楽器はご自身で選ばれた最高の楽器なので、とても気に入って弾いてくださっていて、その方と楽器との良いご縁に調律師として関わることができてとても嬉しく思います。

読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦