こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪
タイトル通り、「ピアノにとって1番ヤバいのは過乾燥です」というお話を。
この時期に湿気の話や除湿機の話をすると聞く方も言う方も嫌になってしまうので、あえてこのタイミングで「乾燥」について書くことにしました。
ピアノをお持ちの方、これから買うかもしれない方は是非一度下まで読んでみてください。
※普段載せている写真は記事の内容と関係するような物を選んでいるのですが、最近暑すぎるため本記事ではひたすらアイスの写真でいきます。
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アイス福袋過乾燥でピアノに起こること
まず結論を。
ピアノの木が割れます。
これはなんとなく想像できる方もいらっしゃると思いますが、過乾燥で怖いもうひとつの部分はズバリこちら。
人知れず木が割れるということ。つまり弾いている本人は気付かずに、調律の時に調律師さんから知らされるという部分です。
ピアノの木が割れると実際にどうなるのか。湿気と乾燥それぞれで起こる不具合と一緒に深堀りしていきます。
湿気と乾燥、それぞれで起こる不具合の特徴
簡単に言うと、持ち主がすぐに気付くかどうかが違います。
湿気が多い時~軽症で気付ける~
湿気が多い時に起こる不具合としては、鍵盤が降りたまま戻ってこない、鍵盤を押しているのに音が出ない、鍵盤から指を離している・またはペダルを踏んでいないのに音が残る、といったように、弾いている人がすぐにわかるような現象が起きます。
このほぼ全てが、ピアノに使われている木材やフェルト類が膨張、つまり膨らんだことによって、パーツのどこかの動きが悪くなることによって不具合が起こります。
弾いていてすぐに「あれ?」となって調律師さんにすぐに連絡をすることが出来るので、症状が重くなる前に何かしらの対策が出来るのが湿気で起こる不具合の特徴です。
過乾燥の時~気付いたら重症~
これに対して過乾燥で起こる不具合にはすぐにわかるものと、わからないものがあります。
接着剤がとれてしまって弾く度にパチパチした雑音が出る、または部品がとれて音が出なくなるといったもので、これらは弾いていてすぐに気付くことが出来ます。
これに対して、木部の割れに関しては持ち主はほとんど気付くことができません。ここからこの事について書いていきます。
ピアノの木が割れた時に起こること
(ややこしい話なので読み飛ばしてもOKです)
割れる部分にもよるのですが、まずは響板というピアノの心臓部とも呼ばれている部分で、響板が割れると特定の音域でヴーヴーといったような雑音が鳴るようになる時があります。また調律も狂いやすくなったりする時もあります。
続いて、響棒と呼ばれる部品(響板の裏側に何本も張り付いている棒)と響板の接着がはがれる現象です。これは響板割れと同時に起こる事がある症状で、より大きな雑音や調律の狂いが出ます。
この2つの症状、仮に起きたとしてもピアノは弾けるので気付く事が難しいことがほとんどです。この状態で気付かずに過乾燥のままでいると、今度は絶対に修理が必要な症状が起きる可能性が出てきます。
それが駒とピン板という部分で、共に弦の張力に耐えている部品になります。これが割れると調律が不可能になってしまうためピアノによっては買い替え並の修理が必要になるので、絶対に避けたいところです。
※響板割れ、響棒はがれの場合、ピアノを弾けないという事はないため、100%修理しないといけないわけではありません。また良い音が鳴っていればそれで良いという考えもあり、この考えについては僕は尊重しています。
【とっても大切】湿気対策が乾燥対策になっているというお話
響板割れについての相談は実はオーストリアにいた時から頂いてきました。その方々に共通している事があって、それは湿気対策をしていなかったという事です。
ピアノという楽器は急激な環境の変化に対して強くは作られていません。そのため、夏に思いっきり湿気を吸ったピアノほど、冬場の乾燥の影響は大きくなります。その逆も然りです。
ですので、今の時期にお部屋の湿気対策をされている方々は、それがピアノの乾燥対策にもなっているのでピアノはとても喜んでいるという事をぜひ知っておいてください。
まとめ
ピアノって大きさや見た目の割に中身は繊細で結構わがままな楽器なんです。ただ基本的には人間が快適と感じる温度・湿度がピアノにとっても理想なので、負担にならない程度で少しでも気を使って頂くと生活も快適になったりするかもしれません。
除湿機と加湿器の記事はこちらです。ぜひ参考にしてみてください。
調律師が本気で選ぶピアノ専用除湿機と湿度計(2022年4月更新)
記事の内容よりアイスの写真選びの方が時間が掛かってしまいました。。
読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦